樹木医は、木の病気を探る時、何分も木に抱き着いて、五感を駆使して病変を見つけるといいます。その姿には、感動さえ覚えます。では、医者は人間にも同じことをしているか?といえば、答えは皆さん御承知の通りです。CTなど、最先端の機器を駆使することも大事ですが、人間にこそ、樹木以上に五感を使った診療が必要と考えています。その、五感をフルに稼動し、診断、治療に結び付ける診療体系が、他でもない日本に存在します。それが、和漢方です。
漢方は、昨今、にわかに代替医療として注目され、日本の医者の4人に3人は何らかの漢方を処方した経験があり、全国約80の医学部の内70の医学部でも何らかの東洋医学講座を持つ時代となりました。漢方の優れた効果の恩恵にあずかるチャンスが増すことは、非常に喜ばしい限りです。
【 札幌リバーサイド漢方研究会 】
西洋医学と漢方の違いは、西洋医学の治療の対象が、細菌やウィルスなどの病原体であるのに対し、漢方は患者さんそのものであることです。敵を、攻撃するのではなく、味方(患者さん)の体力を限りなく元気づけ、病気に勝利する方法をとります。西洋医学的に言えば、リンパ球療法などの免疫療法のような感じでしょうか。実際、漢方薬によって、免疫細胞が活性化されることが、研究により明らかにされており、日常臨床においても、漢方薬を飲んでいる患者さんが風邪を引きにくいということは、漢方医であれば誰でも体験することです。
咋今、西洋医学は、さらに専門科、高度化が進んでいます。一方で、高齢化は急速に進み、複数の疾患を抱える患者さんが増えています。なおかつ、老人の方の病気は、加齢によるものが多いので根治は難しく、鎮痛剤などの対症療法が主体となります。症状の数だけ、薬が必要となり、膨大な量の薬を内服し、なおかつほとんどよくなっていないばかりか、薬の副作用に悩むことにもなりかねません。そして、一番の問題点は、専門科、細分化が進むあまり、複数の医者にかかっているにも関わらず、全体像を把握する役目の医者がいない状況になり得ることです。漢方は、こういった、患者さん自身の要因が問題で生じる疾患に対し、全体像を見ながら、患者さん自体の体力を底上げし、結果的に病気との戦いを有利に進める方法をとります。大抵は、1~2剤の処方で済むため、西洋薬の減量にもつながります。
洋の東西を問わず、いつの時代も、人問は、程度の差こそあれ病気に苦しめられてきました。そして、西洋の医聖、ヒポクラテス、東洋の医聖、張仲景の時代から2000年以上経つというのに、未だ克服できない病気が数多くあります。ということは、いかに病気とうまくつき合い、有利に戦いを進めることを考えた方が得策ではないでしょうか。
昭和漢方の父である故大塚敬節先生が、重い腎臓病で苦しみ、嘆き続ける老女を救った言葉です。
「ひびの入った茶わんも、大事に使えば長持ちする.......」
漢方は、心を救う医学、医術でもあります。
当院では、老年期疾患に関わらず、あらゆる年代、あらゆる疾患の漢方治療を行っております。病名に関わらず、病気でお悩みの方は、お気軽に御相談ください。
消化器
| 過敏性大腸炎、神経性胃炎、二日酔い、慢性肝炎、便秘症、下痢症 |
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呼吸器
| かぜ、インフルエンザ、喘息、気管支炎、喫煙者の咳嗽 |
循環器
| 心臓神経症、不整脈の一部、狭心症 |
内分泌
| 糖尿病の口渇、多尿 |
腎臓
| ネフローゼ症侯群 |
膠原病
| リウマチ、シェーグレン症侯群 |
血液
| 鉄欠乏性貧血、血小板減少性紫斑病 |
精神科
| 自律神経失調症、神経症、うつ病、パニック障害(過換気症侯群) |
皮膚科
| アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、にきび、尋麻疹、主婦湿疹 |
耳鼻科
| 鼻炎、めまい、メニエール病、耳鳴の一部、慢性副鼻腔炎、口内炎 |
眼科
| 緑内障、翼状片 |
婦人科
| 月経困難、更年期障害、月経前緊張症、不妊症、産後の体力低下 |
整形
| 腰痛、神経痛、肩こり、変型性関節症、冷えによる疼痛 |
小児科
| 夜尿症、起立性調節障害、不登校の一部、虚弱体質、自家中毒 |
その他
| がん(悪性新生物)の症状の緩和、西洋薬の副作用の緩和、西洋医学でうまくいかない症状、疾患 |